『高麗大藏經異體字典』
李圭甲編、高麗大藏經研究所、2000.12.6、B5、1,457頁、精裝、函入、200,000ウォン / 21,000圓(税込)、入手容易
高麗大藏經は異體字が頻出することで知られる。本書は高麗大藏經に現れる異體字をすべて活字化して收載する。
各文字は正字ごとにまとめられ、正字を見出し字として部首順に排列する。正字の横には篆書體が示され、續いて韓國音、反切(『漢語大字典』所收のものという)、中國音(拼音)、日本語音が掲載され、おまけに簡略ながら、韓國語、漢語、日本語、英語の四言語で意味まで注記している。ここまでがその文字全體に關する説明であるが、ここまでだけでも至れり盡せりである。
それ以下が異體字關聯の説明となる。
見出し字と異體字の關係にある文字が左端に揃えて並べられ、それぞれの異體字について、該當箇所を前後の句と併せて引用・掲出し、その所在を注記する。具體的には、經典名を番號で示し(卷末に掲載の目録で對照出來る)、卷、葉、行の順に示す。しかもそれだけにとどまらず、洋裝影印本での卷、頁、段、行も示してくれている。實に親切である。
最後に總畫數と、はじめの二畫の五筆法での番號が載せられている。
卷末には、異體字總畫順、部首順、正字總畫順、韓國音による、四種の索引が付けられており、目的の頁に容易に辿り着ける。
高麗大藏經の文字、わけても異體字に關して、實に詳細な情報を提供してくれている。これほどまでに精緻な仕事による資料を座右において參照出來るのは、實に有り難いというほかない。
本書は異體字研究は言うに及ばず、高麗大藏經を調べる際にも間違いなく有用である。また、管理者が一年間大學院での演習において見た限りではあるが、高麗藏と系統が近い金藏(中華大藏經)は、細部の異體字まで高麗大藏經と一致することが極めて多く、金藏を參照する際にも威力を發揮することが多いと思われる。
或いは單に眺めているだけでも、その異體字の種類の多さに驚かされるし、その細部にわたる違いにこだわって整理を續けて來られた樣子が伺われて頭が下がる思いがする。
この字典の編集は、おそらく高麗大藏經の電子化の作業と連動したものである。高麗大藏經CD-ROMの作成にあたっては異體字が丹念に整理され、ひとつひとつ丁寧にフォントが作られた。その整理の成果が本書であり、この時に作成されたフォントが本書の見出し字の活字として用いられているのだろう。
高麗大藏經の電子化も大變な作業であったようだ。このことについては、
ウルス・アップ氏「「高麗大藏經入力計劃」探訪」
に詳しい。
また、以下の加藤弘一氏によるインタビューのなかで、佛典の電子化の話題の中で高麗藏の異體字の問題にも觸れているので、ぜひご參照戴きたい。
「電子テキストの海へ――大藏經テキストデータベース研究會・石井公成氏&師茂樹氏に聞く」
なお、石井公成氏は駒澤短期大學教授、師茂樹氏は現在は花園大學專任講師である。
飜って、本書の入手について。日本では東大赤門正面にある佛教書專門店・山喜房佛書林が代理店となって輸入・發賣を行っている。賣價は税込で二萬一千圓。原價は20萬ウォンだから、1ウォンが約0.09圓というレートを考えれば、大變に良心的な價格設定と言える。お問い合わせやご購入は、山喜房佛書林まで御聯絡になればよいはずである。
「山喜房佛書林」(聯絡先はサイト内を參照)
やや餘談になるが、漢字文獻情報處理研究會を通じて本書を最初にご紹介下さったのも、私に初めて現物をお見せ下さったのも、代理店の情報をお教え下さったのも、すべて上記の石井公成先生であった。この場を借りて御禮を申し上げる。
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