クラシック音楽関連の部屋です。
2009年7月5日改訂
いつの間にか人生の終わりに近づいてしまいました。まだまだと思っても、数字としての年齢は、急速に重なるばかりです。
終わりが近いのであれば、今後、美しいもの以外は見たくないという気持ちが強いです。
昔見た映画に、滅び去る前になにか音楽を聴かせてあげると言われ、地球の風景の映像つきでベートーベンの田園交響曲を聴く場面がありました。あまりの美しさにショックを受けました。今も、まざまざと、その場面が思い浮かびます。
目次
■ ジョコンダ・デ・ビトー
1907年生まれ。イタリア出身の女性バイオリニスト。音楽を聴けばすべてわかるので多くを書きませんが、音楽に対する圧倒的な共感を特徴とします。私の信頼する随一のレコード評論家である西条卓夫氏によれば、”イタリアのルビー”。 私は、ビトーの音楽を聴いて、どこがいいのかわからないという人の音楽を信用したくないです。バッハのシャコンヌは圧倒的な出来で、今まで、シゲティ、前橋汀子etcと聴いてきましたが、ここまでの境地に達した人はいないようです。シャコンヌは、概して女性演奏家のほうが出来が良いような印象を持っています。
メンデルスゾーンの協奏曲もすばらしいです。
デビューが遅く、またリウマチのため、早々と引退してしまい、レコードは多くありません。全集がCD(9枚組)で発売されています。SPからの復刻も含まれていますが、音の悪さは気になりません。
・東芝EMI TOCE 6391-99
■ アルチュール・グリュミオー
甘く、芯のしっかりした音色を持った演奏家です。テクニックも秀逸です。これくらいの甘さであれば、嫌悪感を抱く人はほとんどいないと思います。意外なことに、こういうバイオリニストは少ないのです。一番好きなのは、ピアノのハスキルと組んだモーツアルトのバイオリンソナタです。モーツアルトのバイオリンコンチェルトもすばらしいです。
モーツアルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 K:364 は、クレーメルの演奏をおすすめします。グリューミオが悪いわけではなく、クレーメル版は、ヴィオラとヴァイオリンが対等です。グリューミオ版はヴィオラが引っ込んでいます。
■ ギドン・クレーメル
モーツアルトのヴァイオリン協奏曲全集を聴いて、ファンになりました。抑制された情感という印象です。
■ ジャン・ジャック・カントロフ
美音です。かなりいいです。情熱もあるし・・・。バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータがおすすめです。録音は、1979年 荒川区民会館。パールマンと同世代だそうですが、私は、カントロフのほうが断然好きです。
■ ヘンリック・シェリング
バッハの協奏曲全集を持っています。音の美しさをグリュミオーと張り合っていると思います。1番の第二楽章が秀逸です。祈りの世界です。
■ グレン・グールド
50歳の若さで亡くなってしまいました。まさに奇才。何種類もの弱音を使いわけ、しかもテンポもリズムもくずれません。ホロビッツの弱音に感心したことがありますが、せいぜい2,3種類。他のいかなるピアニストからもグールドのような音は聴けません。極端に椅子をさげて弾くことが、ポイントだと言われていますが、それだけで、このような音楽が可能なら、いっぱい同じような音楽家が誕生しているはずです。驚異的なテクニックと圧倒的な音楽に対する共感と集中、この3つがそろって、いかなるピアニストもまねのできない音楽がつくりだされているのです。普通のピアニストの倍の早さで弾くベートーベンのソナタの録音も残されていますが、真骨頂はバッハです。ペダルをほとんど使わないため、音は明瞭。残響を極端に嫌ったトスカニーニに通じるものがあります。音楽への共感と集中は、ヴィートを思わせるものがあります。モーツアルトは嫌いだとインタービューに答えていますが、わずかに残されたモーツアルトのソナタは驚異的な美しさです。
YouTubeでその一端を聴くことができます。バッハのニ短調のピアノ協奏曲です。YouTubeなので音はよくありませんが、それでも、あまりの音楽の美しさに聴く人の涙を誘ってきました。
http://jp.youtube.com/watch?v=u5vQO1Uw90k
もうひとつは、バッハのパルティータ 第2番 Sinfoniaです。正式録音版は別にあるのですが、最強なのは、この練習風景なのが残念です。この練習風景の弾き方で、全曲が聴ければ、と思うのは私だけではないでしょう。
http://jp.youtube.com/watch?v=qB76jxBq_gQ
■ クララ・ハスキル
私は、モーツアルトの20番,23番と24番の協奏曲しか持っていません。しかし、これらのレコードだけを残しただけで、十分に世の中に存在する価値があります。他には、グリュミオーとの共演によるモーツアルトのソナタが良かった記憶がありますが、LPレコードなので実家に置いてあります。ところで、24番第一楽章のピアノの出だしがすごく好きなのですが、ハスキルをもってすら、わずかにもたつくような感じがあります。他のピアニストの演奏も気になるのですが、ハスキルの24番は定番なので、これ以上の演奏はないのかなと思っています。モーツアルトはむずかしいです。女性としては非常に大柄みたいで、初めて演奏を聴いた時は、女性とは思えなかったのですが、男性の演奏とも違うので、不思議な気持ちになったのを覚えています。
■ スビャトスラフ・リヒテル
もう亡くなってしまい、ずいぶん時間がたちました。40年以上前、高校生だったころ、小石川図書館の音楽ライブラリーで、バッハの平均率クラビールを聴いた時の衝撃は未だに忘れられません。バッハの演奏が汚いという人もいるようです。しかし、私は、リヒテルの演奏を聴くまで、平均率クラビールは子供用の練習曲だと思っていました。そういう風に弾く演奏しかなかったからです。アカデミックな演奏が多いなか、こういう叙情的な演奏は貴重だと思っています。もう一つのお気に入りは、ラフマニノフの協奏曲2番です。また、バッハのチェンバロ協奏曲をピアノで弾いたものは、身震いするほどすばらしいです。
■ バックハウス
練習風景がテレビで放映されたことがあります。もう80歳近かったと思います。何十年も引き続けた曲の練習を、ああでもこうでもないと、練習を続ける姿には鬼気迫るものがありました。もっとも得意としたベートーベンの4番の協奏曲のCDを持っていますが、録音が良くありません。残響過多です。非常に残念です。
■ デミジェンコ
つづりは Demidenko。 ショパンを得意としているようです。清潔で丁寧、詩情豊かな演奏は、現代のヴィルチュオーソの最右翼と思われます。ショパンのピアノ協奏曲1番がすばらしいです。アルゲリッヒの演奏もすばらしいですが、弱音がよく聞こえない時があります。デミジェンコの演奏は細部までよく聞こえます。
■ アルフレッド・コルトー
大部分がSPからの復刻であるため、音はお世辞にもよくないですが、しかし、最近の録音技術のせいか、聞くに堪えないほどひどくはないです。音楽の友社のOCD2040 ”あらえびすSP名曲決定盤”に収録されているのは、かなり音が良いです。針音もすごいですが、全く気になりません。針音を消したら、たぶん音は不明瞭なつまらないものになってしまうのだろうと思います。昔、クライスラーの弾くベートーベンのバイオリン協奏曲を聞いたことがありますが、演奏のあまりの端正さに驚いたのですが、コルトーの演奏も非常に端正に聞こえます。パハマンの演奏はお茶目ですが・・・。
コルトーは、指は、一オクターブしか届かず、指の力も非力で、しかも不器用だったそうです。(ベルナール・ガボティ著 ”アルフレッド・コルトー”)。そのため、様々な工夫をして、欠点を克服したのだそうです。運指法などについても、従来では考えられないようなやり方を開発しており、記録が残っています。
”才能があるおかげで仕事が楽なのは凡人に限るのである。”(小林秀雄 ”モオツアルト”)
ちょっと前まで、ショパンは、フランソワに限ると(デミジェンコも将来は有望だとは思っていますが、まだCDが少なすぎて・・)思ってきましたが、これくらいの音で聞けるなら、SP復刻も悪くないです。シューマンの”子供の情景”も絶品です。
■ ダニエル・バレンボイム
私の持っているモーツアルト ピアノ協奏曲全集は、バレンボイムの演奏です。私の心の故郷です。
■ ツイマーマン
2006年5月に日本公演をしました。NHKホールでベートーベンとモーツアルトのソナタの演奏をしています。それをたまたま聴く機会がありました。音のきれいさに驚嘆しました。ショパンの小品のDVDは前から持っていましたが、かなり癖のある演奏に少々疑問を感じていたことは事実でしたが、モーツアルトとベートーベンは素晴らしかった。
早速、その勢いで、ショパンのピアノ協奏曲のCDを購入してしまいました。やはり相当の個性ある演奏です。テンポがかなり動きます。デミジェンコの演奏のほうが正直好きですが、ツイマーマンもかなりいい線をいっています。弱音の美しさは第一級だと思いました。
■ Carl Listenpart カール・リステンパルト
私が聴いたことがあり、CDを持っているのは、バッハの”フーガの技法”だけです。しかし、この演奏だけで世の中に存在する価値があります。CDにかかれている解説には、指揮者のことがなにも書いていないという冷たい扱いですが、演奏はすばらしいです。静寂な中に歌があります。カール・リヒターの演奏が泥臭く聞こえるといったら、怒られるでしょうか。
・エラート エスプリシリーズ B15D-39183-84
■ Toscanini トスカニーニ
トスカニーニを出すなら、フルトベングラーはどうなの、という声が聞こえそうですが、フルトベングラーは、中学生から始まる私の音楽遍歴のすべてをしめています。わざわざ書くほどのこともないというか・・・・。というわけで、あまり知られていないとっておきを書きます。それは、トスカニーニの指揮するモーツアルトの40番です。第一楽章のビオラのユニゾンが目立つのもユニークですが、圧巻は第三楽章のメヌエットです。非常に厳しい音楽がきこえて来ます。相変わらずデッド(反響のない部屋)録音ですが、こういう演奏を聴くと、昨今の残響過剰の録音は詐欺にあっているとしか思えません。細かいところが全くわからないのだもの・・・・。デッドな音楽からはひたむきな歌が聞こえてきます。アインザッツの少々のずれなどは、感動とは全く関係ないことも理解できます。
CDも出ています・・・・。
■ Herreweghe ヘレベッヘ
声楽曲がすばらしく美しいです。フォーレのレクイエム、モーツアルトのレクイエム、バッハのマタイ受難曲を聴きました。いずれもすばらしいです。フォーレのレクイエムを初めて聴いた時は、あまりにゆっくりで(定番のクリュイタンスの演奏と比較して、という意味ですが)、こんな地味な曲だったかなあと思いましたが、何回も聴くうちに、そのすばらしさがわかりました。実演を聴いた方によると、少人数で歌うそうです。それにしても、このにごりの全くない音声はすばらしいです。是非とも、実演を聴きたいです。その後、多人数の合唱にもそれなりの意義があるのがわかりましたが・・・。モーツアルトのRequiemは、私はジュリーニ指揮のほうが好みです。こちらはオーソドックスなオーケストラです。
私は、どちらかというと、大規模な編成の曲より、独奏楽器のバッハが好きです。無伴奏チェロソナタ、無伴奏バイオリンソナタと並んで、平均率クラヴィーア曲が好きです。別名、”音楽の旧約聖書”とも呼ばれている曲です。特に好きなのが、シンプルな構成の第1集です。第2集は、やや複雑な分、美しさも落ちているように思います。もともとうまくない上に、最近は、ピアノを弾く時間は極端に減ってしまいましたが、平均率クラヴィーアの第一集(24曲)を弾きこなすのが、私の夢の一つです。聴いているだけではわかりにくいかもしれませんが、弾いてみると、和音の響きに関して、かなりの工夫と計算をしているのがわかります。
第一集のCDは、そう多くはないです。なんといっても、リヒテルの演奏という金字塔があるので、それと違う解釈をしなければならないので大変です。ヒューイットも時々聴きます。軽いですが、品のある演奏です。当初、軽すぎると思ったのですが、時々聴くと、安心します。リヒテルは聴くのにも緊張を強いられるので・・・。
シフは、端正でまじめなところが気にいっています。ちょっとぎこちないような気がしているのですが、もっと聴きこんでから、再度評価してみたいと思います。リヒテルに次ぐ演奏の再右翼です。
アファネシェフは、まだ、評価はこれからです。鬼才というレコード会社の宣伝と違って、意外にオーソドックスな演奏です。私にとっては、1番と24番が悪ければ、価値がないのですが、丁寧ではあるのですが、あまりにオーソドックスな印象で、ちょっと戸惑っています。まあ、その分、安心ではありますが・・・。グールドの演奏にはついていけなかったので・・・。 (ゴールドベルグ変奏曲は、グールドの演奏が第一級の演奏であることは認めます。)
グレン・グールドは、是非、聴きましょう。おそらく空前絶後のピアニストです。私には、グールドの演奏が嫌いな人がいる、ということが信じられません。
モーツアルトの演奏は難しいですが、演奏が良い場合、追随できる音楽がありません。交響曲も美しいことは美しいのですが、ピアノ協奏曲は別物という印象があります。できれば、私の葬式には、これらの曲を流して送ってほしいです。最近は、9番、13番、17番、22番変ホ長調と23番イ長調が気にいっています。早いパッセージのかげろうのようなゆらめきも美しいですし、ゆっくりした部分のあえかな雰囲気も好きです。人類はもう二度とこんな曲を作ってくれる作曲家を持つことはないのだろうと思っています。そんなことを言ったら、バッハだって、ベートーベンだって、ショパンだってフォーレだってそうなんですが・・・。
最近、バレンボイムのモーツアルトピアノ協奏曲全集を購入して、最初から聴いています。輸入盤で、5000円でした。これは安い買い物でした。全体を俯瞰するのにも役立ちます。
24番ハ短調は、ハスキルのほうが好みです。ピアノの出だしの部分の美しさは、格別です。
若い頃の作品もいいです。その中でのお気に入りは9番です。親しみやすいメロディーがあるわけではありません。しかし、この繊細な美しさは格別です。
■ 音楽関係の書籍(宗教音楽関係は別項目)
● ”モーツアルト 天才の秘密” 中野雄 著 文春新書
おもしろかったです。推薦します。モーツアルトをおとしめているわけではないので、ファンが、読んで不愉快になることもないだろうと思います。
私が面白いと思ったところを簡単に書いてみます。
1) ハプスブルク家の女帝 マリア・テレジアが、各地の諸侯に回状を回し、モーツアルトを音楽家として雇わないように した。
2) ドンジョバンニやフィガロの結婚が、プラハで大成功(大好評) だったのにかかわらず、ウイーンでは、不評だった理由。
3) ”人生観や人の世に対する洞察力と、作品の内容は間違いなく正比例する。”
モーツアルトの音楽が、今、世の中に存在するには、もちろん、モーツアルトの天賦の才能がもっとも重要なファクターであるわけですが、父親の教育、就職活動としての旅行、浪費家の妻コンスタンツエの存在、貴族の存在、等々がすべてからみあって生まれたものであるようです。天才の仕事が環境に影響されるのは、モーツアルトに限らないのですが、モーツアルトの場合は、奇跡に近いようです。
たとえばの話、もし妻が倹約家だったとしたら、あんなに大量に作曲する必要もなかったわけで(モーツアルトは、収入以外のために作曲したことはほとんどなかったとされています)、もっとも貴重な結婚後の作品の大部分は存在しなかった可能性もあります。
旅行は、ほとんど就職活動のためでしたが、結局、希望の職につくことはできませんでした。もし、就職できていたら、旅行する必要もなくなり、各地の音楽家との接触も減り、各地の音楽を吸収することも少なくなっていたに違いありません。
● ”二十世紀の名バイオリニスト” J・ハルトナック著 白水社
かなり古い本ですが、高校生の頃、むさぼるように読みました。高校生の頃は、山登りに小遣いの大部分を使ってしまっていたため、レコードは1年に1枚くらいしか買えなかったからです。本を読んで、演奏を想像するしかありませんでした。私のお気に入り、ジョコンダ・デ・ヴィトーも取り上げられています。
● "Mozart Catalogue of his Works" Ulrich Konrad 著 Barenreiter 社 2005年
出版されたばかりの本です。モーツアルトの作品の総合カタログです。ケッフェル番号(#1,#3, #6), NMA(Neue Mozart Ausgabe), AMA(Alte Mozart Ausgabe)分類も採用されています。断片類もすべて収録。他の作曲者からの引用、他の作曲者による引用も収録されています。これはかなり便利です。ながめているだけでも楽しいです。2005年出版なので、内容も新しい。楽譜出版のアカデミアで、3600円ほどでした。なお、オリジナルはドイツ語版で2005年の出版ですが、英語翻訳版もあります。私は英語翻訳版を購入しました。NMA番号がわかっていると、楽譜探しが容易になるみたいです。
● ”ウイーン・フィル 音と響きの秘密" 中野雄 著 文春新書 2002年
本のタイトルは前から聞いていたのですが、本屋でぱらぱらとめくってみて、面白そうなので購入してしまいました。ちなみに、音楽に関する書籍は、面白くないもののほうが多く、なるべく読まないようにしています。この本は購入して成功しました。ありきたりの言葉を使わず、オーケストラの裏側を書いています。私は、学生時代、大学オーケストラに属していましたが、この本に書いてあるようなことには全く気がつきませんでした。
特に、フルトヴェングラーの指揮に関する詳細は、非常に面白かった。指揮の神髄をついていると思いました。拍子を取るだけの指揮にならないように、新しい指揮法を開発したようです。そういうことだとは知りませんでした。
● ”初見に強くなる” 竹内剛・菅野真子 著 ヤマハミュージックメディア 1999年
ピアノの初見演奏に強くなるための、勉強の仕方を書いた本です。”初見”というのは、今まで弾いたことのない曲を楽譜を見ただけで、すぐに弾くことを言います。この本は、ベートーベンのピアノソナタを初見で弾くといったように、私のレベルより格段に上をめざす方のためのものです。しかし、本当に面白い。初見で弾くことは、音楽家にとって非常に大事なこととしています。初見で弾ければ、大量の曲を弾くことができます。他人とのアンサンブルに誘われます。音楽大学を卒業した方ですら、初見が苦手なために、レパートリーが極端に狭い方がいるのだそうです。中には、試験のための課題曲を弾いただけで学生生活を終わってしまう人もいる。筆者は、”初見ができないのは、音楽の勉強のしかたが間違っている。”と言います。
ピアノ演奏だけでなく、人生の示唆に富んでいます。何かしら技術を身につけるということには、かなりの知恵が必要なのではないかと思うのです。最近、ピアノの練習を基礎レベルからやり直しています。基本をきっちりするということは、どんなこと、どんな時においても最重要事項なのだと、つくづく思います。楽器の演奏ほど、技術習得法の優劣が表に出るものはないと考えています。
最近、映像にもめざめてしまい、音楽DVDを積極的に購入しています。合唱や古楽器の合奏などは、特にいいです。
演奏の批評・比較はむなしいものだと思っています。真剣で技術が伴っている限り、誰それの演奏が誰それの演奏より劣るなどということはないのではないかと思います。ただし、映像の作り方や録音(マイクのオン、オフ、残響の取り方など)には、文句をつけたくなるものがあります。
なお、私の経験では、DVDをどうやって聴くかは結構難しそうです。普通のテレビのスピーカーで聴いたのでは話になりません。私は、AKG(オーストリア製)ヘッドフォンで聴いています。当初テレビのヘッドフォン端子に差し込んで聴いていたのですが、私のAKGのヘッドフォンがビリつくので、もう壊れたかと思いました。実は、テレビのヘッドフォン出力が劣悪だったのでした。きちんとしたオーディオ装置で聴きましょう。
クラシックCD,DVDの常で、そうそう売れるわけではなく、どんどん廃盤になってしまいます。売れるものは再発売になりますが、数はわずかです。DVDは、メディアそのものが永久品ではないので、将来困ることになるかもしれません。
■ Mozart 魔笛 指揮 Levine メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
1991年のライブ録画。パパゲーノ役のマンフレート・フムがいいですね。表情が豊富で、声もいいし。同じ内容で輸入盤も売っていますが、初めて聴くのであれば、国内盤にすべき。値段は200円くらいしか違わないのに、国内盤には日本語字幕がついているのです。魔笛のDVDは他にもいくつかあるようです。でも、音と口があってなかったり、あまり良くないようです。これが定番であることが納得できました。
■ 毎日モーツアルト 特別編集扁
毎日、BSで放送している”毎日モーツアルト”が、モーツアルトの生涯に合わせて、映像構成しているのに対し、こちらは、ウイーンなどモーツアルトゆかりの地の映像に、BGMとしてモーツアルトの音楽が流れている感じです。バイオリンとビオラのための協奏交響曲がすばらしいです。毎日放送版と違って、一楽章全体が聴けます。これは持っていてもいいと思います。演奏は、いずれも一流の演奏です。
■ Rachmaninov Piano concert #3 Piano V.Horowitz 指揮 Mehta New York Philharmony
実況録画です。演奏がすばらしいのはもちろんですが、ホロビッツの演奏風景の映像としても貴重だと思っています。指を寝かせて、手首を下げ、肘もさがっています。これをまねしてうまく演奏できるのかどうか知りませんが、見ていてもおもしろい。
■ フルトヴェングラー その生涯の秘密
指揮しているところを見ると、あっけに取られます。腕をあまりあげないで、下のほうで指揮棒がふるえているだけなのです。しかし、これこそ、フルトヴェングラーが苦心の末に産み出した”力点のない”指揮なのだろうと思います。音は悪いですが、最近の演奏家の演奏からはきこえなくなってしまった分厚い響きがきこえてきます。
□ Rostropovich Richter ベートーベン チェロソナタ集
1966年頃の演奏ですが、モノラル、白黒画面です。指の細かい動きはわかりません。ヴィブラートが震えているだけのように見えます。音も悪いので最初がっくりきましたが、ヘッドフォンで聴くと、結構いいです。やっぱりテレビのスピーカーは駄目ですね。
** 下の写真は、私のDVD視聴システムです。私は大音量で聴くのが好きなので、基本的にはヘッドフォンもしくはイヤーフォンで聴きます。マンションなので大きな音は出せません。今のマンションに住み始めた時に、スピーカーで大音量で聴いていたら、近所からクレームがきて、スピーカーで聴くのをあきらめざるをえませんでした。ヘッドフォンやイヤーフォンは、閉塞感はありますが、ヘッドフォンやイヤーフォンのような小さい振動板のほうが音が良好なので、困っていません。
愛用のYAMAHAのClavinovaの上に集合させました。DVDプレーヤーとしては、ここには写っていませんが、SharpのARW25と東芝のRX3を使って、パナソニックの液晶モニターで表示しています。Clavinovaの上に乗っているのは、Bluedotの10inchの比較的大型な携帯型DVDプレーヤーです。持ち歩き用はこれです。画像がきれいなので気にいっています。購入時に知ったのですが、これ以下のサイズの携帯DVDプレーヤーは、MPEG2のフォーマットの解像度をまともに表示できないのです。他に、音だけ聞く時や通勤時には、iPOD群を使っています。イヤホンは、AudioTechnicaのATH-7とShureのE2、Etymotic ResearchのER-6iです。イヤホンタイプは、耳への差し込み型でかなり音が違うので注意が必要です。評判の悪いiPodのイヤホンですが、耳の差し込み型の工夫で、結構いい音で鳴ることがあります。いろいろ差し込みを工夫してみてください。通勤時には、イヤホンタイプで、がっちりと遮音して、音量を小さくして聴くのが、良いみたいです。遮音の悪いイヤホンで、電車の騒音に負けないように、音量を大きくして聴いていると騒音難聴になる可能性があります。AudiotechnicaのATH-7は周りが静かだと、かなり音はいいのですが、遮音が悪いので、音量が大きくなりがちです。最近は、E2もしくはER-6iの出番が多いです。
ヘッドフォンは、AKGのK271-studio, AudiotechnicaのATH-AD1000を使っています。AKGは、密閉型なので、外でも使えますが、音の良さの点で、オープンタイプには負けます。AD1000は、秋葉で、3万3000円でした。ヘッドフォンの音は値段なりです。ヘッドフォンのいいところは、マンション住まいでも聴けること、スピーカーだったら、かなり高級でないと聴けない音が聴けることです。マンション住まいなので、これ以上の装置をそろえるのはきついです。

DVDをテレビで見るのはいいですが、テレビのスピーカーで聞いたのでは、お話にならない貧弱な音しか聴けないことにご注意ください。
YouTubeとは、アメリカのYouTube社(Googleの子会社)が運営するインターネット上の動画共有サイトです。当初は、動画を提供する人が自分で作成した動画をアップロードする決まりでしたが、違法なコピーが多数アップロードされたため問題となりました。現在は、JSARCなどに著作権料を払うことで幾分かは問題にならなくなっているようです。有名なものは、こういうところに出さなくても売れるわけですが、無名のものは宣伝媒体として貴重です。
私は、最近、非常に良く聞きます。関連する音楽も表示してくれるので、次々と音楽が聴けます。たとえば、グールドのバッハのピアノを聴いていると、バッハの他の作品やグールドの他の演奏を表示してくれます。音は良好とは言えませんが、こんな貧弱の音でも、演奏の違いは充分わかります。何もわかっていない音楽評論家の意見をまるのみするのに比べたら全然マシです。
たとえば、リヒテルの演奏するラフマニノフの2番は2つ演奏記録があるようですが、私は、新しい方のCDしか持っていません。YouTubeで古いほうの演奏が聴けた時は感激でした。廃盤やテレビの演奏などは、YouTubeがなければ、絶対に聴けないものもあるようです。
この文章を書くために、雑誌”ラジオ技術”を発行しているアイエー出版に問いあわせたところ、すでにお亡くなりになっていました。”ラジオ技術”の連載を降りられたので心配はしてはいたのですが・・・。西条さんの批評が載っていない本を買う気にならなかったので、そのまま忘れてしまっていました。西条さんが批評をお書きになっていたのは、”ラジオ技術”と”芸術新潮”が主だったようです。アイエー出版によると、ファンが少なからずいるそうです。単行本がいくつかあるのですが、いずれも絶版のようで、その一つである新潮社に問い合わせましたが、再発行の予定はないと言われました。
西条さんが推薦したレコードはかなり集めました。いずれも優れた演奏ばかりで、裏切られたことはありませんでした。無名の演奏家のレコードもありましたが、有名な人が必ずしも優れた演奏をするわけではないことがよくわかりました。西条さんの批評は、率直なものでしたが、辛辣ではありませんでした。解説は非常にわかりやすく、なにを言いたいのかわからない凡百の評論家とは違いました。芸術は説得力なのだというのが西条さんの批評の原点だったと思います。無名の演奏家の演奏も広く聴いているし、しかも無名であろうと真摯に聴いていたのだと思います。
クラシックの世界では、レコードやCDは、ポピュラーの世界より数が多く、これをすべて聴くことはとうていできません。音楽を聴くのが仕事ではない人にとっては、ある程度は誰かに推薦してもらわなくては、良いものにめぐりあう可能性は低いのです。おまけにこうどんどん廃盤が出てしまうのでは、巡り逢う前に世の中から消失している可能性もあります。最近は、レコードやCDをあまり集めようという意欲が起きません。”あの人が推薦するレコードなら買って聴いてみようか・・・”と言えるような評論家が見あたりません。
・西条卓夫 ”名曲この1枚” 文芸春秋社刊 (稀覯本扱い。マニアが手放さないため、まず手に入らないと言われました。) 他にも書籍があるようです。情報があるかたがいましたら、教えてください。
■ ベルリンフィル 首席フルート奏者 エマニュエル・パユのファンのサイト
このサイトは非常に情報が豊富で、ここから探しにいけば、クラシック音楽関係のサイトは探せます。フルートのファンはここが一番。
実は、私は熱烈なラフマニノフのファンです。しかし、知っている曲はわずかです。インターネットを検索し、このページを見て驚きました。上には上(というか、私よりは相当上)がいるものです。私なぞ、足下にもおよびません。他に、ラフマニノフの猛烈なファンとして私が知っているのは、ピアノ協奏曲2番のレコードだけ37枚を集めて、分析、調査し、本にしてしまったマニアがいることです。せっかく、いろんな美しい曲がありそうなことがわかったので、これから私もレコードの収集枠を広げていてきたいと思っています。リンクを見ると、他のラフマニノフのファンのページにも飛んでいくことができます。
*最近知った、おすすめレコード: VOCALISE for RELAXATION RCA BVCC-35036
有名なヴォカリースの演奏を13個集めたもの。それぞれ素晴らしいです。何回聴いてもあきません。しいていえば、ストコフスキー指揮、女性合唱付きと、富田勲のシンセサイザーでしょうか。
■ クラシカ
クラシックレコード新譜情報等。作者は、元”音楽の友”の編集長だった飯尾さん。
■ ジョバンニ
クラシックCDの専門店。レコードーー>CD変換サービスもやっているようです。
■ カデンツア
CD通販の専門店。会員制があり、月200円で、CD情報がもらえるそうです。在庫を持たないので、急ぐ場合は、購入をひかえるように、”親切な” ただし書きがついています。情報料ですね。
■ HMV(CD,DVD通販:店頭販売もあります)
品揃えが豊富です。HMVは、セットものがなかなか気にいっています。ばら売りだったら買わなかったであろうCDを購入して、曲が気にいることもしばしばです。しかし、インターネット検索はむずかしいと感じています。全集のものをばら売りしていることがあります。モーツアルトの弦楽五重奏曲の全集とそのうちの#3と#5のカップリングなど。このうちどちらかが廃盤になっていることがあります。ところが検索では、そこまでは面倒見てくれません。廃盤になったほうをみると、”廃盤です。手に入りません。”としか表示しません。しつこく検索するか、店頭へ行ってみることが大事だと感じています。
店頭へいくなら、全館でクラシックCD,DVDとジャズしか扱わない秋葉原の石丸電気がおすすめです。ビルの1階から4階までクラシックを扱っているのだから結構なものです。それでも足りないのですから、クラシックはすごいものです。ひとつの曲で50枚もの演奏CD,DVDがある、ひとりの作曲家が演奏に30分以上かかるような曲を1000曲近く書いている、なんてことはポピュラー領域でもジャズ領域でも滅多にないのではないかと思います。
■ CCD(クラシック音楽のCD, DVD, LPなどに関する情報交換のための)メーリングリスト
http://www.bekkoame.ne.jp/~sakazaki/ccd/index.html
http://www2u.biglobe.ne.jp/~toshome/main/TOSCA.html
http://classic.viemacs.com/index.html
■ モーツアルトの作品分類:ケッフェル番号とNMA(Neue Mozart Ausgabe)について
わかりやすく詳しいです。ピアノの分類だけに限定されています。
■ モーツアルトの作品分類:検索できます。
森下未知世さんのページ: 紹介されて、見て驚きましたが、私がつい最近購入した Barenreiter社の Mozart Catalogue of his worksよりも詳しいかもしれません。
野上秀夫さんのページです。語呂合わせ、ケッフェル番号が秀逸です。
■ YouTube
違法なのかもしれませんが、今まで、レコード・DVD買わなければ、どんな音楽なのか全くわからなかったことを考えれば、すごい進歩だと思います。レコードが1枚2600円もした時代がありました。1枚のレコードを買うにも悩みに悩みました。レコード芸術などいう雑誌を読んで、評論家の言葉から音楽を推測するしかありませんでした。今は、簡単に聴くことができます。レコード評論家は必要ない時代になったと言えます。自分で聴いて、購入に値するかどうか判断できるのです。