ナショナルチームの戦略・スタイル



サッカーはその国の文化,国民性を反映している1番のスポーツだ.南米,ヨーロッパ の世界のナショナルチ−ムの代表的な戦術を紹介しよう.




ドイツ
屈強で背の高いディフェンスの中心にリベロを置き,中盤にラストパスを出せるゲームメーカを配置, 華麗ではないがとにかく点の取れるトップがいるドイツはWCの成績から見てもヨーロッパの中で最強といっても良いだろう.
オフェンスはパスの華麗さはないものの,オープンスペースへの走り込みを重視し ここからのセンタリングから点を取る,少ないパスでチャンスを広げるいわゆる理詰めのサッカーだ.
古くはベッケンバウアー,オベラート,ネッツァー,マテウス, 最近ではヘスラー,メラーと攻撃の起点になる傑出したゲーム メーカーとドイツには珍しい華麗なFWのルンメニゲが印象に残る.
 
 
イタリア
中盤から最終ラインまで守備をがっちり固めて少ないチャンスを人数をかけずに優れたFW陣だけでもの にする,いわゆるカテナチオのスタイルは今もかわらない.イタリア国民もそのあたりを十分理解して1−0 で勝つことを無上の喜びとする.その分1−0で勝つためにはどうするかというサッカーになりやすく,WCでの 1次リーグで苦戦するものの, トーナメントになると接戦をものにしながら勝ち抜くスタイルを貫いている.決勝トーナメント に入っての勝ち上がりは無類の強さを発揮する.
GKのゾフを始めディフェンスにファケッティ,カブリーニ,バレージなどスーパースターがいたのも特徴だ.その分華麗な中盤, トップの選手は少なく古くはルイジ・リーバ,現在のシニョーリ,R・バッジョ,デル・ピエーロなどは珍しい存在だ.
 
 
オランダ
70年代クライフを中心に一大センセーションとなったトータルフットボールを継承した多くの人数が攻撃に参加するスタイルは今も健在だ.ディフェンスは4バックの完全なラインを引き,オフサイドトラップを多用して守る.致命的なピンチを生むことも多いが高さに強いバック陣だ. 攻撃は80年代フリット,ライカールト,現在のダービッツ,シードルフ,クライファートといったスリナムから受け継いだ高い個人技とファン・バステンや現在のベルカンプなどのスーパーストライカーをあわせ,98WCでも見せた華麗なパス回しを見せる.
ドイツ的なオープンスペースからの攻撃と南米スタイルのパスをつないでの中央突破を併せ持つ.選手1人1人ではドイツをも上回る能力を持ち ,1次リーグ,トーナメントでもいい試合をして優勝候補に挙げられながら,優勝が1度もない.
 
 
フランス
中盤での華麗なパス回しを重視するいわゆるシャンパンサッカーはプラティニ,ジレスの80年頃 のものだが,中盤を重視するのは現在も変わらない.試合の結果だけではなく「美しいサッカー」を基本としている.そのためなのか,強かった 80年頃もWC決勝までいけず,カントナ,パパンを擁した前回も終了1分前に望みを絶たれるなど勝負弱い面をのぞかせている.
今回WCではブラン,デサイーの堅いディフェンスとジダン,ジョルカエフの攻撃力 で初優勝を勝ち取った.
 
 
イングランド
ゴール前へのロングボールとこれを競り合うのがイングランドの基本スタイルだ.当然タックルや チャージはフェアなものだが相手国にとっては脅威だろう.66年にWCで優勝しているが,決勝 までの戦いぶり,決勝での疑惑のゴールを考えると疑問符がつく.
古くはボビー・チャールトン,ボビー・ムーア.70−80年代のトレバーチェリー,ブライアン・ ロブソン,現代表監督のグレン・ホドルなど強引にゴール前へ 持ち込むドリブルも,素早いドリブルを武器にしたケビン・キーガンもWCでは活躍できず,多くは前述のロングボールで戦ってきた.
プレミヤリーグに大陸のサッカーが入り,パスをつなぐサッカーを取り入れ始めている.ベッカム オーウェンなどはその担い手だ.
 
 
スペイン
リーガ・エスパニョーラはヨーロッパでの人気リーグの1つだが,ことスペインナショナルチーム としては,WCでの実績があるとは言い難い.中盤でアルゼンチン的な正攻法のパスをつなごうとし, ゴール前では突進するドリブルが多い気がする.中盤,自陣でのディフェンスが甘いせいなのか,失点が多い.
お金で買える超外国人選手が多いリーグのレベルの高さ(とはいっても上位4−5チームだが)がナショナルチーム では生かされていないのが現状だろう.このまっすぐなサッカーは国民性からきているのかもしれない.それに加えて 多民族国家の意識が強くて国としての団結度がドイツ,イタリヤなどと比べて低いせいなのか?
リーグ自体が外人選手 頼りのところはレベルの差はあるが,やや日本に似た全体像だ.
 
 
ユーゴ・クロアチア
載せるのはどうかとも思ったが強いことは間違いない.旧ユーゴなら実力では優勝もあり得るチームだと思われる.ただこの国こそ本当の意味で多民族がサッカーに災いしているに違いない.南米的な個人技と体格のよいバック陣とトップを揃え, カウンタとオープンスペースへのパスはヨーロッパ強国にひけはとらない.あとはストイコビッチなどに見られる時々冷静さを欠 いたプレーを抑えることができれば・・・・・・.

 

ブラジル
はっきりいって,世界で1番サッカーの強い国は?と聞かれたら,ここでしょう.
歴史的に見ても,現在の勢力を考えても, 中盤とトップは断然.流れるようなダイレクトパス, 創造力あふれる展開と個々のボールコントロールと攻撃に関しては世界一でしょう.マナーの面からいっても1番きれいなサッカーをしているように思う.当たりを嫌う分自分からも当たりには行かず,この辺がディフェン ス力の弱さにつながるのかもしれない.
古くはペレ,ジャイルジーニョ,リベリーノ,ジーコ,ソクラテス,現在もロナウド,ロマーリオ, リバウドと世界のスーパースターを生んでいる.
 
 
アルゼンチン
ブラジルに次ぐ攻撃力,ブラジルと違いファンタスティックなサッカーではないが,良く通るパスとヨーロッパ各国と比べても当たり の強さでは負けないディフェンス 力が武器だ.現在は言われているほど細かいパスをつないで攻撃することはなくな ってきているが, 自陣でも「ボールをもつ」という姿勢は貫いているようだ.
それに多くはないが傑出したゲームメーカの存在,必ず1人出てくるケンペス, マラドーナ,バティストゥータなどのカリスマ的選手.自分の攻撃時に当たりを嫌うのはブラジルと同様だが,守備では結構当たりは強く, 汚いプレーも多いのは事実だ.
過去のワールドカップで「疑惑」と呼ばれるのはこの国が関係した場合が多いように思う.