【1970年】
WCは1970年から見ている.サッカーを本気で始めたばかりの頃だ.TVは生中継ではなかったらしいが(当時は録画だという意識もなく見ていた)とにかくブラジルがやたら強く他のチームを全く相手にせずそのまま優勝したのを覚えている.
ペレ,リベリーノ,ジャイルジーニョなど歴史上の名選手が名前通り活躍,決勝のイタリア戦もカウンタに徹したイタリア相手に中盤で華麗なパスを回し試合をコントロールして圧勝だった.
優勝ブラジル 準優イタリア 3位西ドイツ 4位ウルグアイ



1974年
この大会のおかげで今までサッカーへの興味が続いていると言っていい. 決勝は日本では真夜中に放送されたと思うが,開始をワクワクして待った記憶がある. もちろん興味の中心はオランダトータルフットボールとクライフだった.
守備は縦に狭く守り,攻撃はピッチを広く使い,バスケットボ−ルのオ−ルコ−トプレスのように相手パスをカットし全員攻撃.最後尾にいたかと思えば相手ゴ−ル前でシュ−トなど今までのサッカ−とは違う攻撃を見せたオランダ.決勝戦開始直後クライフの相手DFにさわらせもしない緩急を付けたドリブルで得たPKなど.
圧倒的不利といわれながら優勝した西ドイツ組織サッカーの支柱ベッケンバウア−,オベラートのパスワーク,ボンホフのサイドライン からのアタック,ブライトナーの後方からの攻め上がり.
ポーランドのディナ,ラトーを中心にしたスピードサッカー.
1970年大会にも出場していたブラジルリベリーノのFK(ジャイルジーニョが屈んだ隙間を通 した後カーブしてゴール)などが印象に残っている.
後にクライフは決勝の敗因は 「ドイツ人の凄まじい闘争心に対抗できなかった,オランダ人の精神的な弱さにあったのだろう」 と述べている.
優勝西ドイツ 準優オランダ 3位ポーランド 4位ブラジル
   



1978年
この大会は今でも鮮明に覚えている.いい意味ではなくサッカーに対して嫌気がさしたという意味で. この大会のアルゼンチンの戦いぶりを見てそう思った.今でこそ,ヨーロッパのサッカーが好きだが 当時はサッカーなら何でもよかった.アルゼンチンにそのサッカーに対する思いを踏みにじられた大 会だった.
「すべてを味方に付け,勝つためには手段を選ばない.」「見え見えだろうとレフェリーさえ手に入れれば・・・」 こういうサッカーだった.ケンペスはかっこよくて,汚い行為は少なかったけれど,パサレラ,ルーケ は特にひどかった.わざと転ぶ行為は現在のシメオネ以上で,今でこそイエローになるが当時はならなかった. 以降アルゼンチンに対して1度もいい印象を持ったことはない.
史上最高の才能をもったマラドーナやカニーヒヤがでてきてもチーム全体となると同じ印象を与えるから.この大会はこれにつきる.
優勝アルゼンチン 準優オランダ 3位ブラジル 4位イタリア
■うわさ話
この大会はうわさに事欠かない大会だった.その1番大きいのはアルゼンチン決勝進出決定戦となる2次リーグの ペルー戦.当時最終日の試合は同時刻で行われていなかった.ブラジルがポーランドに勝ち,3時間後のアルゼンチンはペルーに3点差以上の勝ちが必要だった.結果は6−0.「当時軍事政権下のアルゼンチンが同じ軍事政権下のペルーに八百長を依頼した」という噂があった.加えてペルーのGKが元々アルゼンチン人であったというのも疑惑の元になった.真相はもちろん謎.



1982年
ブラジル,アルゼンチンに冴えが見られなかったこの大会はヨーロッパ4国が準決勝に残った.
ブラジルはジーコ,セレゾ,ソクラテス,ファルカンとそろったチームだったが,イタリア戦で残り20分をそのまま 過ごせば準決勝だったものを攻撃にでて足下をすくわれている.イングランドは中盤にキーガン,ロブソン, トレバー・ブルッキングを揃えながら調子が出ないまま2次リーグで敗退している.ポーランドはベテラン となったラトーと若手のホープ,ボニエクが素晴らしいスピードで相手チームを翻弄して4強に残った.
イタリアは1次リーグは勝ち星なしで(すべて引き分け)精彩を欠いたが2次リーグではアルゼンチン, ブラジルを破って底力を見せた.フランスはプラティニ,ジレス,ティガナ,ジャンジーニの四銃士と呼ば れたMFで華麗なパスをつなげた.西ドイツはブライトナーがチームリーダーとなり,若きドリブラー, リトバルスキーと華麗なセンタフォワードのルンメニゲを揃えて勝ちあがった.
西ドイツ:フランスは今 でも語り継がれる好ゲームで延長に入って2点をリードされた西ドイツが最後は3:3に追いついてPK 戦をものにしている.
優勝イタリア 準優西ドイツ 3位ポーランド 4位フランス
■試合会場
スペイン大会は14都市17のスタジアムで行われた.14の都市の気候の差が激しく,優勝,準優勝,3位のチームはいずれも大会前半を大西洋岸の涼しい地域で戦ったチームだった.



1986年
この大会は,とにかくマラドーナのための大会となった.神の手ゴールあり,5人抜きのゴールありで 世界中のヒーローとなったのは周知の通り.戦法は単純明快,「マラドーナに複数のマークがつくので 空いたスペースに走り込む」それだけマラドーナが凄かった.
4位になったベルギーは若きシーフォにヤン・クーレマンスとランキンのベテラン できわどく1次リーグ,トーナメントも勝ちあがった.デンマークは1次リーグ全勝で勝ちあがる. レアビー,エルケーア,オルセン,ミカエル・ラウドルップと揃えた攻撃陣はスピードに乗った攻めを 見せたが,決勝トーナメントであっけなくスペインに敗れてしまった.
目立ったのはフランスとブラジル, 事実上の決勝戦といわれる準々決勝のこの戦いは,前半優雅なパスをつないで多くのチャンスを作った ブラジルだが1点しか取れずにいた後半少ないチャンスをプラティニが決め同点.以降ブラジルが怒濤 の攻めを見せるが凌ぎきったフランスがPK勝ちしている.WC史上でも類を見ないナイスゲームだが 最後PK合戦になったのが,本当に残念.
優勝アルゼンチン 準優西ドイツ 3位フランス 4位ベルギー
■またまたメキシコ開催
コロンビア開催予定だったが国の経済情勢悪化と武装ゲリラによるテロを危惧して開催を返上した.メキシコ以外にアメリカ,カナダ,ブラジルが開催に名乗りを上げたがアヴェランジェFIFA会長の強い意向でメキシコに決まった.会長が経営する保険会社と取引関係にあるメキシコのテレビ局からの「強い要請に応えたもの」といわれている.



1990年
PK戦はサッカーの本質を否定するものだと思っている.この大会の決勝トーナメント 16試合中(3位決定戦含み)4試合がPK戦によるものだ.今はゴール デンゴールというらしいが1次リーグF組にいたっては6試合中5試合が引き分け,1試合だけ1−0, となんともすっきりしない内容だ.「A−F各組3位の中から4チームも決勝トーナメントへ」 というルールから目標勝ち点「3」(全部引き分けでOK)となり,こういう消極的な試合が増 えたと思われる.
そんな中,地元イタリアは1次リーグ全勝,トーナメントも2−0,1−0と無失点のあと, 準決勝でPK戦でアルゼンチンに敗れた.見ていて本当に強かったイタリアが苦戦,PK戦で 勝ちあがってきたアルゼンチンに敗れる・・・これがPK戦なのだ.個人的にイタリア代表チーム は好きではない方だが,このときのイタリアは強かった印象がある.
決勝もPK戦を勝ちあがった西ドイツがPKを決めて優勝している.最後の最後までPKに振り回されたWCだったと思う.
優勝西ドイツ 準優アルゼンチン 3位イタリア 4位イングランド
■1試合平均得点
サッカーシーズンではない6月−7月に行われたこの大会.上記にもあるが1次リーグF組に至っては言葉もない. オフサイドルールを最大限に生かした守備を引くヨーロッパの戦術がこういう結果をもたらした.次回アメリカ大会では「ゴールを大きくしよう」という意見まで出たが,結果的にはオフサイド判定を甘くすることで決着.サッカーのルールまで変えてしまった.



1994年
この大会は暑さからくるスタミナとの闘いだった.マラソンと同じで真夏にサッカーは無理だと思う. 当然1−0で勝つための消極的な作戦に出るだろうから,勝ちを3点にした英断は帳消しだ. そんな中,ブラジルのサッカーは群を抜いていたと思う.流れるようでファンタスティックな中盤からのパス, ゴール前でGKまでもかわしてあげるゴール,すべてのチームがブラジルへの挑戦権争いをしているようだった.
イタリアはいつものように1次リーグで苦労し,やっとトーナメントへ進出.アルゼンチンも毎度のことで同様. ブルガリアはストイチコフとレチコフ,コスタディノフの強烈な個性で,調子のでないメラーをゲームメーカにお くドイツを破る.スウェーデンは背の高いトップにトップ下へブロリンの個人技で勝ち抜く.惜しかったのはオ ランダ.準々決勝でどうみてもオフサイドをレフェリーミスで2点.この後がんばって同点に追いつくが最後は 力尽きた.
決勝戦,イタリアは話題を呼んでいた調子のでないバッジョを使い続け,得点力のあるシニョーリやゾラを使わ なかった.ブラジルは試合中盤までは主導権を握って素晴らしい攻撃をしたが,イタリアの守備で阻まれる.結果, 史上最悪の結末,決勝PK戦を迎えることになる.
優勝ブラジル 準優イタリア 3位スウェーデン 4位ブルガリア
■サッカー不毛の地
サッカーの盛んなヨーロッパとの時差に合わせて試合を日中に行わざるをえたかったのだろう.多くの試合がスタミナとの闘いとなった.またイタリア大会の教訓を生かして勝ちにこだわる,得点の多いサッカーを目指す以下のルール改正が行われた.勝ち点変更:いまや常識的となった勝ちを2点から3点に.オフサイドは直接プレーに関与しない限りオフサイドとしない.



1998年
 



WC国別ランキング 勝利数順(1998年フランス大会終了時点)

ランク 国名 出場 試合 勝利 引分 敗戦 得点 失点 優勝 得点率 失点率
1 ブラジル 16 80 54 13 13 173 78 4 2.163 0.975
2 ドイツ(西ドイツ) 14 78 45 17 16 162 103 3 2.077 1.321
3 イタリア 14 66 38 15 13 105 62 3 1.591 0.939
4 アルゼンチン 12 57 30 9 18 100 69 2 1.754 1.211
5 フランス 10 41 22 5 14 86 58 1 2.098 1.415
6 イングランド 10 45 20 12 13 62 42 1 1.378 0.933
7 スペイン 10 40 16 10 14 61 48 0 1.525 1.200
8 ロシア(ソ連) 8 34 16 6 12 60 40 0 1.765 1.176
9 ユーゴスラビア 9 37 16 7 14 60 46 0 1.622 1.243
10 ハンガリー 9 32 15 3 14 87 57 0 2.719 1.781
11 ウルグアイ 9 37 15 8 14 61 52 2 1.649 1.405
12 スウェーデン 9 38 14 9 15 66 60 0 1.737 1.579
13 オランダ 7 32 14 8 10 56 36 0 1.750 1.125
14 ポーランド 5 25 13 5 7 39 29 0 1.560 1.160
15 オーストリア 7 29 12 4 13 43 47 0 1.483 1.621
16 チェコスロバキア 8 30 11 5 14 44 45 0 1.467 1.500
17 ベルギー 10 32 9 7 16 40 56 0 1.250 1.750
18 メキシコ 11 37 8 10 19 39 75 0 1.054 2.027
19 ルーマニア 7 21 8 5 8 30 32 0 1.429 1.524
20 チリ 7 25 7 6 12 31 40 0 1.240 1.600


上の表は勝利数順に並べた.WCでのけ数をいうのはあまり参考にならない(トーナメントは1回負け ればそこで終わりなので)そうなると勝ち数以外にランクを決めるものはないようだ.フランスは今大会 の7勝0敗が効いて前回まで10位前後から一気に5位にランクアップ.オランダも出場するといいとこ ろまでいくが,出場回数が少なく上位に入っていない.
ブラジル,ドイツ,フランスは1試合あたり2点以上で攻撃力のあるところを示している.
イタリア,イングランドは失点を1点以下に抑えて予想通り守備力の高さを表している.
驚くべきはハンガリー,僕も記録でしか知らないが1934年から1954年大会までの強さで1試合あたり2.7点 とっている.マジックマジャールの本領だ.