NOTHERN SONGS  CECC 00514

THE BEST MUSICでも書きましたが、一番欲しかったアルバムをつい最近見つけたので、ここに紹介させていただきます。
ビートルズのスタイルで演奏活動していたといえば、ラトルズやトッド・ラングレンのユートピアなどがすぐに思い浮かぶが、彼らは一応オリジナル。しかしこのリボルバーは、ビートルズとしては公式発表せずにレノン・マッカートニーコンビが他人に作った曲をビートルズスタイルで演奏したもの。スタジオ・セッション・グループの集まりで、名前も明らかにされていない(少なくともこのCDでは)。
79年リバプールのROXレコードより発売されたが、レコード会社の倒産によりしばらく廃盤。83年にセンチュリーよりCD化されたものの93年廃盤となっている。

1.ONE AND ONE IS TWO
ORIGINAL:THE STRANGERS WITH MIKE SHANNON  全米、全英ともチャートインせず。
オリジナルはさすがに筆者の知らないバンドが演奏。レノン・マッカートニーのゴールデンコンビでもチャート・インしない曲が結構あるんだね。本家ビートルズも海賊盤で演奏しているらしいが、筆者はブートレッグ盤というのはあまり持っていないため、オリジナルもビートルズ盤も聴いたことない。
イントロはROLL OVER BEETHOVEN」のノリ。「I SAW HER STANDING THERE」風のメロディ、ベースラインの明るいポップス。
2.BAD TO ME
ORIGINAL:BILLY J.KRAMER & THE DAKOTAS   全米9位、全英1位
さすがにこの曲は知っている。ビリーJ.クレイマーのアルバムは持っているので。ビリーJ.クレーマーの2枚目のシングル。しかし、オリジナルより筆者好みに仕上がっている。「I'M HAPPY JUST TO DANCE WITH YOU」風でもあり、ビートルズのデビュー曲になりそこなったジェリー&ペースメーカーズの「HOW DO YOU DO IT」風でもあり、途中の『ウーワーウーワー』というヘタクソなコーラスもたまらない。最後は「SHE LOVES YOU」でバッチリ決めている。
3.WORLD WITHOUT LOVE
ORIGINAL:PETER & GORDON   全米1位、全英1位
このアルバムの中では一番有名な曲であり、このコラムを義理で読んでいる人以外はみんな知っている曲。『THE BEST MUSIC』のコラムでは、ピーター&ゴードンの項でこの曲を推さなかったけれど、やっぱりいい曲だよな。特にエンディングの部分なんか、見事に決まっている。
ピーター&ゴードンの項にも書いたけど、ポールはピーター・アッシャーの妹のジェーンとは元恋人同士。
4.LOVE OF THE LOVED
ORIGINAL:CILLA BLACK   全米 チャートインせず、全英30位
オリジナルを歌ったシラ・ブラックは「YOU'RE MY WORLD」を26位を記録。ブライアン・エプスタインにキャバンクラブで働いているところをスカウトされた。本名はプリシラ・ホワイト。ハーモニカを使い「LOVE ME DO」を意識させる。
5.I'LL KEEP YOU SATISFIED
ORIGINAL:BILLY J.KRAMER & THE DAKOTAS   全米30位、全英4位
ビリーJ.クレーマーの3枚目のシングル盤。マッカートニー作のこの曲はオリジナルに軍配を上げたい。
コードを間違えた?ギターと、ブルーコメッツのようではあるが、残念ながらエンディングの全くハモっていないハーモニーが聴きどころ(笑)。
6.THAT MEANS A LOT
ORIGINAL:P.J.PROBY   全米チャートインせず、全英24位
オリジナルのP.J.プロビーはアメリカの歌手だがイギリスでの活躍が目立った。
「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」のベースをゆったり弾いているリフは出てくるものの、この曲はビートルズというよりも、スペクターのイメージ。この曲のハモは掛け値なしに美しい。
7.I'LL BE ON MY WAY
ORIGINAL:BILLY J.KRAMER & THE DAKOTAS   全米、全英ともチャートインせず
「I FEEL FINE」、「DAY TRIPPER」で始まり、「LOVE ME DO」と「TWIST AND SHOUT」と「LITTLE CHILD」を融合させたような作品(なんじゃ、それ)。遊び心十分で、軽快なハモもオリジナルより楽しく仕上がっている。ビリーJ.クレーマーでは、デビュー曲の「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」のB面。
8.I DON'T WANT TO SEE YOU AGAIN
ORIGINAL:PETER & GORDON   全米16位、全英チャートインせず
ピーター&ゴードンのオリジナル。邦題は「逢いたくないさ」。アレンジは「IN MY LIFE」か「HERE THERE AND EVERYWHERE」のイメージかな。『綺麗な曲』という表現がぴったりだが、この曲はオリジナルの方がノリがよくて筆者好み。
9.HELLO LITTLE GIRL
ORIGINAL:THE FOURMOST   全米チャートインせず、全英10位
オリジナルのフォーモストはブライアン・エプスタインによって売出されたリバプールのグループ。フォーモスト盤のアレンジはリボルバーとそれほど変わらない。フランスではシェイラがヒットさせたらしい。
この曲は「アンソロジー1」への収録曲であり、ビートルズ版が聴ける。このCDが出た5年前は、心躍らせ買ったものだ。そしてこの曲はアンソロジー1の中でもお気に入りの曲で、リボルバーバージョンもナイス。ジョンが初めて書いた曲とのこと。
10.TIP OF MY TONGUE
ORIGINAL:TOMMY QUICKLY   全米、全英ともチャートインせず
オリジナルのトミー・クイックリーというアーティストはさすがに知らない。何かの曲に似ているようなのだが、なかなか思い当たらない。レノン・マッカートニーコンビというより、トッド・ラングレンが作ったというイメージ(そんな違いがわかるのか!?)。
11.NOBODY I KNOW
ORIGINAL:PETER & GORDON   全米チャートインせず、全英9位
ひとことで表現すると『やさしい曲』。「キャンディ・キャンディ」や「アルプスの少女ハイジ」なんかの昔の少女マンガの主題歌にピッタリっていう感じ(見たことないけど・・・)。オリジナルのピーター&ゴードンはドラムがちょっとキツすぎているため、リボルバーの方がイケてる。
12.FROM A WINDOW
ORIGINAL:BILLY J.KRAMER & THE DAKOTAS   全米23位、全英13位
ビリーJ.クレーマーの6枚目のシングル盤。日本ではこの曲が初シングルとなった。リボルバーバージョンは何も知らずに聴くと、ホリーズっていうイメージ。「TICKET TO RIDE」を明るい曲にした、ミディアムテンポ。オリジナルのビリーJ.クレーマーよりもハモの部分はイケている。
13.STEP INSIDE LOVE
ORIGINAL:CILLA BLACK   全米チャートインせず、全英7位
レノン・マッカートニーにしては珍しくボサノバ調の曲。強いていえば「TILL THERE WAS YOU」っていうところか(おっと、これはレノン・マッカートニーコンビじゃなかった)。エンディングの「I WANT TO TELL YOU」のリフが聴きどころ。ビートルズとしてアンソロジー3に収録されているが、リボルバーバージョンの方がオススメ。
14.LIKE DREAMERS DO
ORIGINAL:APPLEJACKS   全米チャートインせず、全英23位
アンソロジー1収録曲。ビートルズはレコードデビュー前に作った曲はほとんどレコーディングしなくなってしまい、9曲目の「HELLO LITTLE GIRL」と並びEMIと契約してから、一度もビートルズによってレコーディングされることはなかった。この曲だって、ビートルズとして歌われたら絶対売れただろうと思われる曲。スター・クラブで歌っている時を一番想像させてくれる一曲である。
15.GOODBYE
ORIGINAL:MARY HOPKIN   全米13位、全英2位
筆者がリボルバーなるグループを知ったきっかけとなった曲。オリジナルのメアリー・ホプキン版は日本でもオリコン13位のヒットしたが。筆者の好きな「I FEEL FINE」っぽくものすごく好きな曲だが、ビートルズというよりも、ルビナーズっていうイメージかな。メアリー・ホプキンよりもリボルバーの方がずっと素敵に仕上がっている。
16.IT'S FOR YOU
ORIGINAL:CILLA BLACK   全米 チャートインせず、全英8位
レノン・マッカートニーコンビとはちょっと思えない曲で、アニマルズの「THE HOUSE OF THE RISING SUN」っぽくアレンジされており、なかなかカッコいい。
17.I'M IN LOVE
ORIGINAL:THE FOURMOST   全米チャートインせず、全英12位
ビリーJ.クレーマーの3作目に予定されていたが、2枚目の「BAD TO ME」に似ているという理由で、フォーモーストに譲られた。フォーモストは続く「A LITTLE LOVING」を6位まで押し上げ、これが最大のヒットとなっている。
曲は「SHE LOVES YOU」?、「PLEASE PLEASE ME」?いずれにしても初期のビートルズを象徴しているような曲。アルバム最後の曲のエンディングは「DAY TRIPPER」のリフで締めくくられる。
タイトルの「ノーザン・ソングス」も「ONLY A NOTHERN SONGS」から取ったものだろうが、全体的にはビートルズがまだハンブルグのスタークラブで歌っていた頃を思い出させる。
フェイクは所詮フェイクといえども、このアルバムを聞いてやはりレノン・マッカートニーは世界一のソングライターチームということを再確認せざるを得ない。解説にはサウンズ・アライクの根底にあるのはパロディと書いてあるが、トリビュート、オマージュというということで捕らえるべきアルバムだろう。