「AV女優」

「鑑別所に行っちゃうぐらい不良になる人たちっているでしょ。ああいう人たちって余裕があるんですよ。 ぐれて困るのは親ぐらいだし、守らなきゃいけないものは何もないから家を飛び出せるんじゃないんですか?
 私だってぐれて家を飛び出そうと何度思ったか。でも私が家を出たら誰が弟や妹たちを守るんだと思うと...。
 ぐれることも出来なかったんです。」

このフレーズは、ある「新刊書」から引用したのですがどんな本から引用したと思いますか?
「何か賞をもらった人の本?」「わかった、昔の人の自伝書でしょう。」
そんな、印象すら感じる言葉です。

しかし実はこれは、96年の3月か4月ごろ出版された「AV女優」という ビレッジセンター という出版社からだされた本の中の一フレーズです。
#この本で自分の記憶の確認のために時折参照します。

この部分は「AV女優」の中でも私の一番好きなフレーズで、「風吹あんな」(注1) という女優さんの言葉です。
ほんっと〜に世の不良どもに言ってやりたい言葉です。

AV女優という仕事は女優という名がついていますが、私は普通の「女優」だとは思いません。
いえ、決して悪い意味ではありません。
(とはいえ、こっから先はAV女優さん達が見たら非難を浴びそうるかもしれませんが。)
「女優」という仕事では「演じる」こと、「見せる」ことが仕事となります。しかし「AV女優」には「演技」は 重要視されません。(注2) 私は、「AV女優」は「艶じる」こと「魅せる」ことが仕事だと信じています。
(漢字って便利ですね。古い表現ですがこの通りかと思っています。「演技」と「艶技」ですね。)
確かに「偽姦」の女優さんの場合は、「演技」じゃないかというかもしれません。 しかし「演技」では見ても「感じない」んです。AV女優の演技には「つや(艶)」が必要で、 見ている人を了する必要があるのです。

ところで若いAV初心者のファンの皆さん。「本番」をしてれば自然に「艶じる」ことが出来ると勘違いしては行けません。 10数人のスタッフに囲まれ、途中何度も入る「カット」の中で、自然に感じるのは無理です。

想像してみてください。そんな状況で行為に没頭できる訳がないんです。 彼女達はそんな状況の中で(その行為の真偽に関わらず)本当に感じられるはずが無いんです。 (注3)
そこに映し出されているのは「リアリズム」ではなく「一瞬の集中力による艶技」なのです。

しかしAVの多くには、その主役に「演技力」のが足りないため、ドキュメンタリー方式のものが多く見られます。
ほとんどが素人であったAV女優さんの、撮影という異常な状態の中での緊張を少しでも解きほぐそうとする手法でもあると思うのですが、 この手法のおかげで「演じよう」とする彼女達の気負いを取り、その感情の「向こう側」を見ることが出来るのは、 単なる副産物なんでしょうか?
(なんか、話が堅いなぁ)

ところで、 AV女優さんを説明するときに私はよく、「企画女優(企画物女優)」「単体女優(単体物女優)」のような書き方をしていますが、 これは決して私の言葉ではなく、通常使われる言葉のようです。

企画女優というのは、「潜入!地下パーティー」「お姉さん、我慢できない」みたいな題名の、 女優さんがたくさん出てくるいわゆる「企画物ビデオ」にしか出てこないような女優さんのことです。
彼女たちには悪いと思いますが、やはり少々かわいさが足りなかったりしたような女優さんたちのことです。
とはいえ、「五十嵐ちえみ」や、「森下りょうこ(漢字の名前もあった)」達のようにかわいいながらも、 いまいちアピール度が足りなくて企画に甘んじてしまった女優さんもいるようです。

単体女優は、企画女優とは違い「一人で一本のビデオを成立させることの出来る。」女優さんのことです。
一般的に皆さんが耳にするのは彼女達で、「えっ!この娘が脱ぐの?」と思うような子や、ぱっと見て「いかにも」な、 グレードの高い女優さんたちです。

もっとも、企画メインで単体も取ったり、単体から人気が落ちて企画にいって引退というコースもあり一概には言えませんが。

話がそれましたが「アダルトビデオ」というのは、ちょっと特殊な業種だと思っています。
ビジュアルに訴えるということでは、メディア界なのでしょうが主役は「素人」が中心です。 (違うというかもしれませんが、せいぜい素人に毛が生えた程度のモデルぐらいでしょう)
また、ポルノ映画(というより、ピンク映画)が「全てを見せる中、いかにして隠すか」を考えながら撮影した(私はそう思う) にもかかわらず、AVでは「モザイクがをかけられるから、出来るだけ生の迫力を」に、変わっていったような気がします。

こんな特殊な業界(少なくとも私はそう思っています。)に、身をおく愛すべきAV女優たち。
みなさん、ぜひ一度「AV女優」を読んでみてください。

そこにはきっとあなたの想像とは違った彼女たちの姿が描かれています。



 


<< 注釈 >>

注1) 「風吹あんな」     本文へ

日本テレビ「テレビじゃん」の中の「ロバの耳そうじ」で、最初から最後までいたかなり貴重な存在。
なんでも今は「監督」としても活躍しているらしく、本人の趣味(?)同様SMものの監督のようです。

「ロバの耳そうじ」では、「水原美々(チチダス・ミミで分かるかな?)」が出てましたが覚えてますか?

注2) 演技力不要       本文へ

まあ、確かに演技力は必要ありませんが、カラミに持っていくまでの間に使うドラマ部分での余りにひどい 「棒読み」は、勘弁して欲しいです。
最低限の演技力(聞き取りにくくても、しゃべり言葉程度で話して欲しい)。

注2) 感じられない      本文へ

あくまでも、「一般的に」はそうじゃないかと思います。私ならあんな状況じゃあたちません。
もっとも、「人に見られた方が感じる」人もいるんでしょうが...